地のもの-豆造(とうぞ)-

2024年03月06日

『とうぞ』といいましても、ご存じの方は少ないと思います

これは千葉県の市原や長生地方で古くから作られている故郷の味です

父は市原市の農家の出身です。サラリーマンになりましたが、家庭菜園で季節ごとの野菜作りをしたり、味噌やお茶作りなどを楽しんでいました

年が明けた1年で最も寒い頃、庭の一角に、レンガやブロックを積み上げて簡易のかまどを作り始めると、味噌作りの始まりです

庭にいつも目にしない湯気が立ち始めると豆を煮ている匂いがしてきます

かまどのほうまで行ってみると、中の薪が赤々と燃えていています

子供の頃の私は「わぁ~」っと近寄って行って、あったまったものです

味噌は大豆を煮てつぶし、麹と塩を混ぜて・・・寝かせる・・それだけでこんなにも美味しい調味料ができるのですもの!人間ってすごい(^^♪

そして、もっとすごいのは、なに一つ無駄にせずに大切にいただく・・・この気持ちです

大豆を柔らかくなるまで煮たあとの煮汁が『とうぞ』になるのです

各家でお味は色々ですが、基本は塩で味付けます。麹と煮た大豆を少し入れ、あとは干した大根を細かく切って入れたり、納豆を入れる家庭もあるようです

数日置いておくと味も馴染んで、納豆を食べる感覚で、暖かいご飯にかけて食べます

特にすっごく美味しい!!というものでもないけれど、滋味深い素朴なお味です・・それが何より・・毎年味噌煮をした寒い冬のお味です

父が亡くなり、味噌作りから離れていた私です。ですから『とうぞ』も口にできなくなっていました

ところが、市原にある道の駅でこの『とうぞ』が売っていると知って、びっくり!

こんな田舎のものが・・・感激でした。道の駅は素晴らしい(^^)/  それこそ、父が毎年麹を購入していた麹屋さんが作って販売していたのです

私も来冬は味噌作りをしてみようかしら。主人を誘ってみます(^^♪