草木染の色はこんなにも多彩-赤系-

2025年03月11日

草木染は植物や動物由来の自然界からいただく色素で染めた色です

なんとなく優しくて淡い色合いが多いように思われていますが、そんなことはありません。鮮やかで力強い色もたくさんあります

今回はその鮮やかな色の代表選手、赤系の紅花のご紹介です

こんなビビットな色が花びらの色素から?って驚かれます

しかもこの紅花の色素は特徴的で、一般的な草木染の染め方とは違っていてとても神秘的です

この神秘的な鮮やかなピンク色は、日本では卑弥呼の時代(3世紀前半)には確認されています

奈良県桜井市にある纏向遺跡(まきむくいせき)で紅花の種子が発掘されています

纏向遺跡は弥生時代末から古墳時代初目頃の大集落の遺跡です。こんなにも古くからこの鮮やかな色に魅了されていたこと、想像に難くありません


紅花の花びらはオレンジ色

紅花のオレンジ色は、黄色の色素のサフラワーイエローと赤い色素のカルタミンで構成されています

サフラワーイエローは水に簡単に溶けますが、赤のカルタミンは水に溶けません。カルタミンは熱にも弱いので、グツグツと煮出すこともできません。ちょっと手ごわい染料です

水とは仲が悪いカルタミンもアルカリ性の水溶液には溶けだしてくれますので、アルカリ水で花びらを揉んで色を抽出します

この赤い色素は全体のわずか1㌫ほどしか含まれていないので、大変高価な染料です


今回の個展の作品では『四季の花』の中の、虫取り撫子の花びらに『ヒヤシンスの水栽培』の濃い・淡いピンク花に紅花染めの糸を使っています